帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛
最近テレビで帯状疱疹ワクチンのCMをご覧になりませんか。
帯状疱疹は、子供のころに水痘(みずぼうそう)にかかったことのある人なら誰でもなる可能性があります。80歳までに3人に1人の割合で帯状疱疹にかかると言われています。加齢に伴って増加し、皮膚の症状が改善した後も神経痛が残る厄介な病気です。
帯状疱疹は、発症の数日前から違和感、ピリピリとした痛みが出ることが多いです。続いて、皮疹、水疱(水ぶくれ)が現れ、痛みがより強くなってきます。皮膚症状が出てからですと比較的診断しやすいのですが、最初の段階ではなかなか診断が難しい病気です。
体中のどこに発症するかは人によって異なりますが、左右どちらか片側の一つの神経で生じるので、基本的に左右どちらか片側にしかできません。好発部位としては三叉神経第1枝領域(顔の神経、おでこ)の部分、第3、4胸髄神経領域(胸、わきの下、背中にかけて)の部分にできることが多いです。胸やお腹の場合、神経に沿って帯のように(左右どちらか片側で)皮膚の症状が出ます。
皮膚症状がはっきりしていることが多いので、皮膚科へ受診し、診断・治療を受けることが多いです。また、当院のようなペインクリニックでも抗ウイルス薬を用いた初期治療を行います。皮膚症状は通常、2週間から3週間程度で痂皮化していきます。
帯状疱疹発症直後からの痛みに加え、皮膚症状が治った後にも痛みが続くことが少なくありません。慢性的な痛みの代表疾患です。ヒリヒリする痛み、シカシカする痛み、衣類が触れるだけで痛い、風が当たるだけで痛い、電気が走るように痛い、針で刺されるように痛いなど、普通のケガの痛みとは異なる特有の痛みです。
帯状疱疹後神経痛になると、発症当初は有効だったアセトアミノフェンやロキソプロフェンなどの鎮痛薬の効果が弱くなってきます。そこで、内服薬としてリリカやタリージェなどの神経の痛みに効果的な薬剤を用います。ノイロトロピンや古くからある三環系抗うつ剤を(神経痛に対する鎮痛薬として)使用することがあります。
内服だけでは痛みを抑えられない場合には、ペインクリニック専門の神経ブロック療法を行います。
神経ブロックというのは帯状疱疹のウイルスで傷つき、痛みで過敏になった神経に対して局所麻酔薬を使ってお休みさせることで痛みを和らげていく治療です。局所麻酔薬を用いてできるだけ痛くないように行います。帯状疱疹の場所によってブロックの種類が異なります。神経ブロック治療を行う場合には診察の際にどのようなブロックを行うのか具体的にご説明します。
当院では、帯状疱疹後神経痛の治療に力を入れております。痛みが強い、痛みで眠れない、日常生活に支障をきたしている、などでお悩みの方はご相談ください。
2023.06.28|コメント(0) | 院長の診療日誌