院長の診療日誌

ぎっくり腰の治療法

名古屋市千種区のペイン池下クリニック院長の熊谷です。

 

今回は、当院で行っているぎっくり腰の治療についてご説明します。

 

ぎっくり腰というのは、正式な病名ではなく、重いものを持ち上げた後や急な動作のときに腰が痛くなる急性の腰痛のことです。治療方法は消炎鎮痛剤の内服や外用、それでも改善しない場合に、当院では神経ブロック治療を行っています。

神経ブロック注射は、麻酔科医が得意とする治療法で、当院のようなペインクリニックや専門の麻酔医がいる整形外科などで受けることができます。

 

■神経ブロック治療とは

神経ブロック治療は、痛みの伝える神経に対して局所麻酔薬を注射する方法です。この治療は、お薬やリハビリだけでは効果が不十分な場合や、痛みによって日常生活に支障をきたしている場合に適しています。

 

■神経ブロックの効果

神経ブロックの効果は多くの場合、直後から数時間で現れ、数日から数週間にわたって治療効果が持続します。ただし、効果の持続期間は個人差があり、痛みの原因や体の反応によって異なってきます。痛みが抑えられている間に、適切なリハビリテーションや体操を行うことで、腰の状態を改善し再発防止につながることが期待できます。

 

■神経ブロックの種類

神経ブロック治療にはいくつかの種類がありますが、ぎっくり腰に対して一般的に用いられるのは、次の二つです。

 

・硬膜外ブロック

これは、特に慢性的な腰痛や坐骨神経痛に対して効果的です。局所麻酔薬(と必要時には少量のステロイド)を硬膜外腔という神経の外側に注入することで、炎症を抑え、痛みを和らげます。この方法は、痛みの原因となる場所に直接薬剤を届けるため、全身への影響が少なく、効果が直接的です。

 

・神経根ブロック

脊髄から枝分かれする神経根の場所に注射する治療で、特定の神経根が原因である痛みに対して行います。この治療は診断的な役割も果たし、どの神経根が痛みの原因であるかを特定する手助けとなります。

 

■治療の流れ

治療を受けていただく際には、診察、レントゲン検査や必要に応じて採血検査など行い、患者さまの症状や健康状態を把握します。その上で、負担のかかっている部位を特定し、最適な神経ブロックの方法を選択します。ただし、現在内服されているお薬の種類(血液サラサラの薬など)によっては別のブロック治療を行う場合があります。ブロック注射を行った後は30分から1時間程度当院のベッドで安静にしてお休みいただきます。

神経ブロック治療は、ぎっくり腰の痛みに対する有効な選択肢の一つです。痛みでお悩みの辛い方は当院にご連絡いただくか、あるいはお近くのペインクリニックや麻酔科専門医にご相談されることをお勧めいたします。

2024.07.02|コメント(0) | 院長の診療日誌