痛みの悪循環って何ですか?
若干専門的な話になりますが、
以前から診療を通して、ペインクリニックの専門医師達は、神経ブロック治療を行なうと薬の有効作用時間よりも、もっと長い期間痛みが取れることに経験的に気付いていました。
最近20年の間に痛みの研究が進展し、痛みが続けば続くほど神経の機能、構造が変化して痛みに対してより過敏になってしまうことが解明されてきました。
痛みの伝達が増えるほど神経の性質が変化して、より痛みが強くなってしまうわけです。
これが『痛みの悪循環』。
その結果、「服がこすれるだけで痛い」とか、「風があたるだけで痛い」といった神経痛が起こってしまうのです。
こうした神経の変化を『神経の可塑(かそ)的変化』と言い、これが慢性の痛みのメカニズムであることがわかってきたのです。『神経の可塑(かそ)的変化』は最新の基礎研究におけるキーワードの一つとなりました。